パリ · 絵画
ユトリロ《ベルリオーズの家》
オランジュリー美術館 · パリ, フランス
この作品は、モーリス・ユトリロが描いた《ベルリオーズの家》です。まだ馴染みの薄い名前かもしれないので、作品の前に画家について簡単にご紹介します。ユトリロはパリのモンマルトルで生まれ、生涯モンマルトルとその周辺を描き続けたフランスの画家です。母は印象派の画家たちのミューズと呼ばれたシュザンヌ・ヴァラドンで、奔放な恋愛関係の中で実の父親を知らずに育ったユトリロは情緒不安を抱え、10代の頃からアルコール依存症を患っていました。母の勧めで絵を描き始めた彼は、生涯アルコール依存と闘いながらも、画家としてはフランス最高勲章であるレジオンドヌール勲章を受章するほどの成功を収めます。
絵に描かれた家は、作曲家ベルリオーズがモンマルトルで暮らしていた家で、ユトリロの作風における「白の時代」に属する作品です。この時期、彼はキャンバスに砂や石膏を混ぜて絵を描いており、この作品でも家の外壁を表現する際に石膏が使われているため、まるで本物の壁のような質感が感じられます。
白の時代の作品はこのように沈んだ雰囲気を帯びており、そのためユトリロは「悲しき白の画家」とも呼ばれています。なお、この家は第一次世界大戦中に取り壊され、現在その跡地にはアパートが建っています。
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