パリ · 絵画
アンドレ・ドラン『狩猟用の鞄』
オランジュリー美術館 · パリ, フランス
この作品は、アンドレ・ドランが描いた『狩猟用の鞄』である。ドランはスペイン旅行で目にしたスペインの画家たちの静物画からインスピレーションを得て、その後パリに戻ってからは静物画の制作に没頭した。この絵もその時期に生まれた作品だ。壁に掛けられた狩猟用の鞄と、その前に置かれた一羽の死んだ鳥、そして食卓でよく見かける水差しやカップなどが描かれている。
絵の題材は古典から影響を受けているが、技法には当時流行していたキュビスムが用いられている。キュビスムと聞くと多くの人がまずピカソを思い浮かべるが、キュビスムを確立した画家の一人にドランも含まれる。キュビスムとは、簡単に言えば物を解体し再構成することで絵そのものの美しさを際立たせる手法で、セザンヌのやり方からさらに一歩進んだものといえる。例えば、絵の中の狩猟用の鞄の横にある白い鉢を見ると、本来正面からは見えないはずの中身が見えているが、これは上から見下ろした視点も一緒に取り入れているためだ。このように複数の視点を組み合わせ、最も効果的に表現する手法がキュビスムである。
ただしドランは、ピカソのように極端なキュビスムを追求したわけではなく、その原理を自分の画風に合わせて取り入れたため、絵をずっと楽に鑑賞することができる。実際、ピカソの絵は難解に感じられることが多く、当時はドランのほうがピカソよりも人気があったこともあるという。
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