パリ · 古代美術
王の顔を持つ守護神、スフィンクス
大スフィンクス · パリ, フランス
ピラミッドと並んでエジプトを象徴するスフィンクス。ギリシャ・ローマ神話では人を食らう怪物として登場するが、実際のエジプトでは守護神として崇められていた。王宮や神殿の入り口、そしてファラオの墓であるピラミッドの前によく置かれていた。
顔はエジプト王、つまりファラオの顔で、体はライオンの体をしている。どの王の顔かはまだ分かっていないが、これが王の顔であることを示す手がかりが三つある。一つ目は、額にわずかに突き出た部分。今は壊れているが、もともとは「ウラエウス」と呼ばれるコブラの装飾だった。エジプトでコブラは王権を象徴した。二つ目は、頭にかぶっている縞模様の頭巾「ネメス」で、ファラオたちが好んでかぶっていたものだ。三つ目は、胸に刻まれた「カルトゥーシュ」と呼ばれる、ファラオを指す文字である。
このスフィンクスはエジプトから直接運ばれてきたものだ。ナポレオン軍がエジプト遠征に出た際、多くのフランス人考古学者を同行させ、その過程で数多くの遺物が発掘された。当時のエジプト人はこうした遺物の価値をよく理解しておらず、放置されているケースも多かったため、発掘許可も容易に下りた。そうしてエジプトの貴重な遺物は、フランスをはじめとする当時の列強へと渡っていったのである。
しかし19世紀後半以降、エジプトも遺物の価値を認識するようになり、国外への持ち出しを禁止するとともに、他国へ渡った遺物の返還を求め続けている状況だ。