エッフェル塔 · 4/10

パリ · 建築

エッフェル塔はいつ、なぜ建てられたのか

エッフェル塔 · パリ, フランス

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「鉄の貴婦人」と呼ばれるエッフェル塔は、1887年1月28日に着工し、1889年に完成しました。1930年にアメリカのクライスラー・ビルが完成するまでは、世界で最も高い構造物でした。それまで世界一高い建築物だったのは、高さ161メートルのドイツのウルム大聖堂。その2倍以上の高さをもつエッフェル塔の登場は、大きなセンセーションを巻き起こしました。建築高さ300メートルにアンテナ24メートルを加えた総高は324メートルで、およそ81階建てのビルに匹敵します。2004年に開通した世界一高い橋、フランス南部のミヨー橋に次いで、フランスで2番目に高い建造物です。

1200万人が暮らす大都市でありながら、5〜6階を超える建物が少ないところに、パリの特別さがあります。顔を上げれば青空がすっきりと広がり、視界をさえぎるような尖った建物もありません。1977年に建てられた高さ210メートルのモンパルナス・タワーを除けば、パリにエッフェル塔に並ぶ高層建築はありません。現在、パリ市内では180メートルを超える建物は建てられず、パリジャンは配管や暖房が古くても昔ながらの建物に住むことを好み、新しい集合住宅の建築にも保守的です。そのため、パリの穏やかで低いスカイラインは、これからも保たれていくでしょう。

エッフェル塔が建てられた理由は、大きく2つあります。ひとつは、ボナパルト朝の第二帝政フランスとプロイセン王国が戦った普仏戦争のあと、敗戦の屈辱を晴らし、国力を示すためでした。もうひとつは、フランス革命100周年を記念してパリで開かれた万国博覧会(エクスポジシオン・ユニヴェルセル)の入口をつくるためです。この博覧会は1900年4月14日から11月12日までの半年にわたって開催され、過ぎゆく19世紀を記念し、来たる20世紀の発展を加速させようという趣旨のものでした。フランスは世界各国に招待状を送り、それぞれの成果や暮らしぶりを展示してもらったため、各国の共通点と多様性を一堂に見ることができました。新しい文化に触れて理解を深め、戦後の世界平和を目指した、文化的寛容の好例といえます。

エッフェル塔のほかにも、アール・ヌーヴォー様式のグラン・パレ、ベル・エポック様式のアレクサンドル3世橋、現在はオルセー美術館となっているオルセー駅も、この万博のために建てられました。これらは今も当時のままの姿で残り、パリ観光の大きな柱となっています。パリの大観覧車グラン・ルー・ド・パリ、マトリョーシカ、ディーゼルエンジン、エスカレーター、世界初の磁気録音機テレグラフォン、トーキー映画など、数多くの発明品も展示されたそうです。この博覧会には4800万人が訪れましたが、これは予想の3分の2ほどにとどまり、財政面では意外にも成功とはいえませんでした。

1991年、エッフェル塔はユネスコの世界遺産に登録されました。登録には、3つの条件を満たす必要があります。第一に、人間の創造的才能が生んだ傑作であること。第二に、長い期間にわたって、あるいは世界の一定の文化圏の中で、建築や技術の発展、記念碑制作、都市計画や景観設計において、人類の価値観の重要な交流を示していること。第三に、人類の歴史における重要な段階を示す建造物、建築や技術の集合体、景観の優れた見本であること。こうした厳しい条件をすべて満たしたという事実が、エッフェル塔が技術的にも美的にも優れた作品であることを物語っています。

トロカデロの散策を終えたら、横断歩道を渡ってイエナ橋の右側の入口まで進みましょう。音声はここで一度止めて、イエナ橋で再生してください。

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