ゴッホのオーヴェル=シュル=オワーズ · 6/12

パリ · 絵画

「カラスのいる麦畑」

オーヴェル=シュル=オワーズ · パリ, フランス

オーヴェル=シュル=オワーズ
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10年間で800点あまりの作品を残したゴッホが、晩年に描いた油彩画で、アムステルダムのファン・ゴッホ美術館に所蔵されています。サイズは横103cm、縦50.5cmで、横幅が縦の2倍近くにもなる比率は、ゴッホの作品としては珍しいものです。不安に満ちた人生が終幕へ向かうような、不穏な空気が漂う作品です。この絵を最後の作品だとする人もいますが、ゴッホはこの後にも何点も描いているため、事実とは言いがたいようです。

アルル時代を経て、サン=レミの療養院で1年近く静養したゴッホは、人生最後の拠点となったオーヴェル=シュル=オワーズにやって来ました。この絵は、心の奥底にある孤独や死への恐れを、比喩によって表した作品とも解釈されています。少数説ではありますが、死の淵にあっても生への希望を暗示した絵だという見方もあります。ゴッホは、嵐が迫る荒れた空の下の麦畑に、自らが抱える「悲しみと極度の孤独」を込めようとしました。荒々しい筆づかい、ゆがんだ風景、そして消えゆく不吉な黒いカラスの姿が、その感情を色濃く伝えています。

ゴッホは絵の具を混ぜたり水で溶いたりせず、ひと筆ひと筆を慎重に、しかしきわめて荒々しく重ねました。麦は明るい黄色、土は茶色で表され、どんよりと暗い青の空が劇的なコントラストをなしています。まさに、目に映った自然というキャンバスに、「印象」という絵の具で描いた絵といえるでしょう。荒いタッチに加え、古典的な調和や繊細な色調を捨てたことでこの効果はいっそう際立ち、ありふれた麦畑はたちまち形も色もゆがんで、画家の不安な心情を映し出します。麦畑の間を通る道の上では、白い雲がはっきりそれとわかるほど渦を巻き、まるでゴッホ自身の精神状態を示すかのように画面の中央に描かれています。遠近法という基本さえ無視して自分の状況をぶつけた風景画でありながら、不思議と視線を引きつけて離しません。麦畑や黄土色の道端に重ねられた筆のあとは、数えられるほどくっきりと太く、こうした画法は、のちの20世紀美術、とりわけ表現主義に大きな影響を与えました。

ゴッホはこの絵について、テオへの手紙でこう打ち明けています。「嵐が来そうな空の下の麦畑を描いたこの絵は、僕の悲しみと孤独を表現したものだ。」多くの人がこの作品を死と結びつけて見るのも、そのためです。

フランスは意外にも農業国で、小麦は天候によって異なりますが、年に3回ほど収穫するといわれます。ゴッホがこの絵を描いた6月末から7月初めに訪れると、収穫直前の麦畑を歩くことができます。道を歩いていると、画家たちがここで筆をとりたくなった気持ちが自然とわかるはずです。それでは、実際に歩いてみましょう。

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