ゴッホのオーヴェル=シュル=オワーズ · 11/12

パリ · 絵画

オワーズ川のほとりで出会う光

オーヴェル=シュル=オワーズ · パリ, フランス

オーヴェル=シュル=オワーズ
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ガシェ医師の家まで見終えたら、駅の方へ歩きながら、市庁舎の近くのカフェやレストランで、軽く飲み物や食事をとるのもよいでしょう。ゴッホが好んで飲んだというアブサンは、強すぎるのでおすすめしません。駅を過ぎてもう少し歩くと、右手にオワーズ川のほとりが見えてきます。川沿いの道へ下りてみましょう。のんびり散歩するフランスの人々の姿が見え、暑い日にはカヤックやカヌーで川を行く人たちにも出会えます。本当にのどかで美しい町です。

ゴッホは、どうしてこの小さな静かな町にやって来て暮らすことになったのでしょうか。オーヴェル=シュル=オワーズは、風景が絵のように美しく、鉄道でパリから30分の距離にあったことから、19世紀半ばから後半にかけて、ドービニーを皮切りに、セザンヌ、ピサロ、コローといった新進の画家たちが滞在しました。ルソーやミレー以来、近代美術史に大きな足跡を残したパリ近郊のバルビゾンに比肩する、芸術の町だったのです。ゴッホがラヴー旅館に来たときには、ほかの部屋はすべてオランダやアメリカから来た画家たちで埋まっていたほどでした。

印象派の画家たちは戸外制作を欠かせないものと考えており、なかでも光を表現するために、光をもっともよく映す水辺に沿って自然と移動していきました。バルビゾンで活動した画家たちは、主に素朴な田舎の庶民の暮らしを描きましたが、画風はどこか暗く、質素なものでした。写実主義から印象主義へ移るにつれて絵が明るくなった理由のひとつが、光です。光を表現するため、川や海のように水のある場所へ向かったのです。モネが睡蓮を描いたジヴェルニー、ここオワーズ川のほとり、「印象、日の出」を描いたオンフルール、象の岩で知られるエトルタ、そしてノルマンディーの海岸まで、印象派の舞台になったのはそのためです。

オワーズ川のほとりで、開けた眺めを楽しみながら散歩してみましょう。川を見つめ、視線を左、右と交互に移すと、同じ川の水のはずなのに、左と右で色が違って見えます。それは光のせいです。これを実感できれば、印象派の画家たちが光を表現するために戸外へ、そして水辺へと向かった理由が、きっと腑に落ちるはずです。ゴッホをはじめ、ドービニーやピサロが絵を描いた同じ場所を歩きながら、光の移ろいによって印象が変わるという印象派の大きな枠組みを、ぜひご自身で見つけてください。さあ、今度はあなたが彼らにならって絵を描く番です。

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