パリ · 宮殿・各室
ヴィーナスの間
ヴェルサイユ宮殿 · パリ, フランス
天井画の中央には、美と愛の女神ヴィーナスが描かれている。この部屋と、先ほど通ってきた豊穣の間は、いずれも軽食を楽しむための空間であった。豊穣の間が自らの富や宝物を誇示しながら酒を酌み交わす場であったとすれば、ヴィーナスの間は王室の優雅さの中で料理を楽しみ、本格的な宴の雰囲気を盛り上げる場であったといえる。
部屋には、ルイ14世の等身大の彫像がある。古代ローマ軍人の装いをしたルイ14世が、片手に棍棒を握って敵の背を押さえつけ、もう一方の手には、知恵と戦術の女神ミネルヴァを思わせる兜と、メデューサの頭で飾られた盾を手にしている。これは、ルイ14世が古代ローマさながらに絶対権力を振るい、ヨーロッパの中心となることを望んでいたことをうかがわせる彫像である。
次の部屋へと続く扉の脇にある絵画に描かれた柱は、実際の柱と同じ形に描かれており、絵の奥にさらに実際の空間が広がっているかのような錯覚を生み出す。これはトロンプルイユと呼ばれる技法で、実際には存在しない空間をあたかもあるかのように目を欺き、部屋をより広く見せるための手法である。現代であれば室内を広く見せるために鏡を設置するところだが、当時は鏡が非常に貴重であったため、こうした技法を用いて空間を広く見せていたのである。
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