パリ · 宮殿・各室
社交の間
ヴェルサイユ宮殿 · パリ, フランス
ここはプティ・トリアノンの中でも最も活気に満ちた空間、社交の間である。マリー・アントワネットはここで自らハープを奏で、歌を歌った。
当時の宮廷作法では、王妃が部屋に入ると同時に、その場にいる全員が手を止めて立ち上がり、礼をしなければならなかった。しかしマリー・アントワネットはこの部屋でだけは、自分が入ってきても誰も立ち上がらないようにと命じた。音楽家たちは演奏を止めず、針仕事をしていた女性たちやビリヤードを楽しんでいた男性たちもそのまま続けてよいとされた。この部屋でだけは、王妃という立場を離れ、一人の人間として過ごしたいという思いがあったのだろう。
今日の視点から見れば親しみやすい王妃と映るかもしれないが、当時の保守的な貴族たちの受け止め方は違った。貴族たちは王妃に礼を尽くす作法を通じて自らの存在を認められてきたため、その手順が省かれると、自分たちが軽んじられている、あるいは王室の権威そのものを損なっていると批判した。くつろぎのための慣習は、やがて歪められ、素行の乱れを示す噂にまで発展することもあった。
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