パリ · 宮殿・各室
マルスの間
ヴェルサイユ宮殿 · パリ, フランス
天井の中央には、二匹の狼が引く戦車に乗った軍神マルスが描かれており、その下には兵士たちや武器、兜などが散らばっている。ルイ14世は戦争を好むタイプではなかったが、必要とあれば躊躇しない人物であり、実際に彼の治世のうち30年以上が戦争の時期であったと伝えられている。
部屋の正面には、戦争を主題とした絵画が展示されており、その中に「ダレイオスの家族、アレクサンドロス大王の前に現れる」という作品がある。戦いに敗れ捕虜となったダレイオスの家族が、勝者であるアレクサンドロス大王に慈悲を乞う場面で、彼らは向きを誤り、大王の側近の前にひざまずいてしまう。だがアレクサンドロスは気を悪くするどころか、手を差し伸べながら「間違いではない。私の傍らにいるヘファイスティオンもまたアレクサンドロスなのだ」と語ったと伝えられている。この絵を通して、ルイ14世もまたそうした慈悲深さと寛容さを備えた君主であることを示そうとしたのである。
マルスの間という名にふさわしく、ここは本来、近衛兵たちが使用していた部屋であった。昼間は外部からの来客を検問し、夜には野戦用の寝台を置いて眠った。隣の部屋が王の寝室であったことを考えれば、当然の配置だったといえる。しかし行事が開かれる際には、この部屋はまったく違う姿に変わった。中央の壁にある暖炉の両脇に二段の台を設け、楽団が演奏する舞踏会場へと変貌したのである。
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