パリ · 彫刻
知恵で輝く老いた体、ヴィクトル・ユゴー記念碑
ロダン美術館 · パリ, フランス
この彫刻はヴィクトル・ユゴーの記念碑だ。ユゴーが世を去った4年後の1889年、パレ・ロワイヤル庭園に建てられるユゴーの記念碑制作をロダンが依頼され完成させた作品である。この依頼を受けたとき、ロダンは非常に喜んだと伝えられている。彼が長年ヴィクトル・ユゴーの熱烈なファンだったからだ。先にヴィクトル・ユゴー胸像を紹介した際にも触れたが、ロダンにとってユゴーはただ眺めているだけでも心地よい存在だった。
彫刻の中の男性がヴィクトル・ユゴーである。ユゴーはイギリス領ガーンジー島に亡命していた時期があり、その時、海を見つめながら物思いにふけるユゴーの姿をこの彫刻に込めた。ユゴーは上半身をあらわにし、下半身だけを布で軽く覆っているが、これは古代芸術で神や英雄を彫刻する際によく用いられた手法だ。ただし違いがあるとすれば、ユゴーの体は胸がたるみ、腹も出た老いた人間の姿そのままに写実的に表現されている点だ。ここには意図が込められており、歳を重ねるということは知恵が深まったということでもある。つまりユゴーの老いた体は、彼が生きてきた歳月の分だけ積み重ねられた知恵を象徴していると言える。彫刻の背後には悲劇のミューズが、ユゴーの耳元で何かをささやく姿で表現されている。
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