パリのピカソ · 5/27

パリ · 絵画

三枚の自画像に見る画風の変遷

ピカソ美術館 · パリ, フランス

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この作品は、ピカソが1901年に描いた自画像です。画面全体が青く染まっています。ピカソの「青の時代」はおおむね1901年から1904年までとされ、この時期の作品は青が支配的です。この自画像も青みを帯びています。

では、ピカソの自画像を三枚並べて見てみましょう。同じ人物が描いたとは信じがたいほど、とくに最初の一枚と最後の一枚は大きく異なります。

最初の一枚は、ピカソが18歳、まだパリを訪れる前に描いた自画像です。美術学校の影響が残っていた頃で、目や鼻、口が繊細に描かれ、影や明暗も巧みに表現されていて、非の打ちどころがありません。美術教師だった父の影響や学校での授業を通じて身につけた、従来の美術様式、つまりアカデミズムの基準に沿って描かれた絵です。ピカソは学校で教わった基準を満たす絵を描いていましたが、やがてその枠から離れていきます。

二枚目は、25歳頃にパリで描いた自画像です。とくに耳からあごへと下りる線が、仮面のように見えませんか。18歳の自画像と比べるとずっと平面的で、影がなく、線も単純な直線にまとめられています。学んできた芸術様式を壊し始めたのです。遠近法も、影や明暗の対比も、消失点もなくなりました。仮面のようだと言ったのは、当時のピカソがアフリカの美術や仮面から一部インスピレーションを得ていたからです。アフリカの仮面は、丸い目に高く立てた鼻という単純な造形でありながら、強い印象を残します。そのため、この時期のピカソの絵にはマスクのような雰囲気があります。

最後の一枚は、ピカソが90歳のときの自画像です。目や顔の輪郭はなんとなくわかりますが、この絵を見て「ピカソに似ている」と言えるでしょうか。丸い目や鼻、三角形といった単純化された幾何学的な形が見え、巨匠の作品というより、子どもの絵のようにも思えます。髪の毛もどこからどこまでなのか判然としません。こうした疑問を重ねていくと、「そんなことが本当に重要なのか、絵は対象に似せて描かなければならないのか」という問いにたどり着きます。こうした考え方の根には、ピカソが若い頃に切り開いたキュビスム(立体主義)があります。それまでになかった革命的な潮流で、見えるとおりに客観的に描くことはもはや意味がないという考えから出発し、具体的な描写を大胆に省くところから始まりました。キュビスムについては、このあと改めて詳しく見ていきます。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:Kent Wang、Ecritures、Martin Pulaski(CC BY-SA 2.0 / CC BY-SA 4.0 / CC BY 2.0)。

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