夜のパリ散歩 · 12/24

パリ · 街歩き

セーヌ川の夜、ゴッホの星月夜に思いを寄せて

パリ · パリ, フランス

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いまお聴きいただいたのは、ドン・マクリーンの「Starry Starry Night」です。「星降る夜に」という意味で、今回のツアーのタイトルでもあります。昼のセーヌ川も美しいものですが、街灯の明かりに揺れる夜のセーヌ川は、パリをいっそうロマンチックに見せてくれます。このタイトルから思い浮かぶもうひとつの名前が、ヴィンセント・ファン・ゴッホの「ローヌ川の星月夜」(「アルルの星月夜」)ではないでしょうか。オルセー美術館を訪れたなら、2階でこの作品をご覧になったはずです。まだの方は、ぜひ観てください。ツアーの名前は、セーヌ川が流れるパリの夜から、この作品を連想して付けました。ただ、作品に描かれているのはセーヌ川ではなく、アルル地方のローヌ川です。私たちが眺めているのはセーヌ川ですが、川面に映る黄色い街灯の明かりを見ていると、ゴッホの揺れ動く心が伝わってくるようです。

ゴッホの話をすると、「かわいそうな人だ」という声をよく耳にします。耳を切り落とした、自ら命を絶った、精神を病んだ、といったネガティブな言葉がついて回るからです。実際、彼の人生には失敗が数多くありました。牧師だった父に倣って聖職者を目指し、神学校に入ったものの試験に落ち続け、伝道師として炭鉱の町の貧しい人々と暮らしましたが、職業としての牧師になってほしかった父は背を向け、支援を打ち切りました。弟テオの援助を受けて絵を描き続けても、絵は売れず、人づきあいも不器用で、まともな恋愛もできませんでした。度重なる挫折の末に精神を病み、自分の耳を切り落とし、ついには自ら命を絶ってしまいます。

けれども、ゴッホが弟テオに宛てた手紙の一節を読むと、彼が不幸なだけの人ではなかったように思えてきます。「僕はイーゼルの前に立っているとき、生きていると感じる」。何年も全てを捧げて描き続けたのに、評価もお金も得られなかった。それでも、絵を描く瞬間には生きていると感じられたというのです。人生のなかで、自分が生きていると感じられることをしている人は、どれくらいいるでしょうか。何をしているときに生きていると感じるのか、それすら分からない人も多いかもしれません。やりたくないことを無理にこなして暮らしている私たちに、ゴッホを不幸だと言う資格があるのだろうか、と考えてしまうこともあります。すでに好きなことを見つけて、楽しく暮らしている方もいらっしゃるでしょう。もしそうでなければ、今からでも好きなことを探してみてください。仕事でなくても、おいしいものを食べる、旅に出る、本を読むといった小さなことから、生きていると感じられることをたくさんしてほしいと思います。

次にお聴きいただくのは、映画『はじまりのうた』でアダム・リヴァインが歌う「Lost Stars」です。「私たちはみんな、迷子の星、さまよう星」という内容の曲です。年齢を問わず、私たちはずっとさまよい続けているのかもしれません。好きなものを見つけて幸せになれるよう願いながら、この曲とともに移動しましょう。

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