パリ · 街歩き
パリ唯一のぶどう畑とラパン・アジル
パリ · パリ, フランス
モンマルトル美術館からもう少し歩くと、ぶどう畑に出ます。パリに1つだけのぶどう畑といわれ、ここで収穫したぶどうでワインが造られ、収穫の季節にはぶどう祭りも開かれます。
ぶどう畑を過ぎると、ラパン・アジルがあります。畑の端に建つ赤い壁の建物で、鍋から酒を手に飛び出すウサギの絵が描かれています。「ラパン」はウサギ、「アジル」は素早いという意味で、直訳すれば「素早いウサギ」。お酒の絵が描かれているので意外に思えますが、ここはキャバレーです。モンマルトルで唯一のキャバレーで歴史も長く、今も旅行者に人気があります。キャバレーと聞くとどんな雰囲気かと気になるかもしれませんが、夜だけの営業でありながら、未成年でも入れるほど健全な雰囲気です。創業当時のインテリアをそのまま残し、古いシャンソンを歌う歌手がいて、お客さんは踊ったり一緒に歌ったり。まるで昔のパリに戻ったような気分になれます。懐かしい雰囲気に浸りたい方、シャンソンを聴いてみたい方、パリの健全なナイトライフを楽しみたい方におすすめです。
ここは、エディット・ピアフが歌った場所だと伝えられ、ピカソやモディリアーニが常連だったともいわれています。芸術家たちがどんな魅力に惹かれて足しげく通ったのか、思いを巡らせてみるのもいいでしょう。
ニューヨークのメトロポリタン美術館には、ピカソの作品『ラパン・アジル』があります。この絵には、ピカソ自身と親友のカサヘマスが愛した女性、ジェルメーヌ・ピショが描かれています。カサヘマスは彼女と別れた衝撃から、大勢の人の前でピストル自殺を遂げました。ピカソはこの出来事のあと、すべての絵を青で描く「青の時代」に入ったとされています。『ラパン・アジル』に登場するジェルメーヌ・ピショは、『アヴィニョンの娘たち』のモデルでもあったと伝えられています。
また、モンマルトルを拠点に街のあちこちを描き続けたモーリス・ユトリロにも、『ラパン・アジル』という作品があります。オルセー美術館で見られるこの絵は、ラパン・アジルの外観を描いたものです。