パリ · 建築
サン・トマ・ダキャン教会
パリ · パリ, フランス
**外観**
ここまで来ると、私たちがよく知るヨーロッパの教会らしい姿が見えてきます。この教会の名前は、フランス語では「サン・トマ・ダカン」ですが、ここでは便宜上、なじみのある名前で「トマス・アクィナス」とお呼びします。
サン・トマ・ダキャン教会も、もとは修道院の一部でした。ルターの宗教改革をきっかけに、カトリックの内部でも改革と自浄運動が起こりました。これを反宗教改革と呼びます。このとき、信仰を学び広めることを目的に建てられた建物のひとつが、ドミニコ会の修道院としてのこの教会です。
パリを代表する後期バロック様式で、左右対称、1階と2階の柱の形が異なります。両側の扉の上、2階の下部から1階へつながる部分をご覧ください。翼の形がなだらかな曲線で結ばれています。これはローマのある教会の影響を受けたものです。屋根の下の三角形の中の彫刻は、翼のある女性として擬人化された宗教が、神の真理を世に伝える姿を象徴的に表したアレゴリー作品です。中央の扉の上にいる2人の天使が持つ枝は、それぞれ殉教と勝利を表します。左の扉の上には、聖母マリアがロザリオを手渡す彫刻があり、ドミニコ会を代表するロザリオの祈りを象徴しています。ロザリオを受け取っているのは誰でしょう。トマス・アクィナスと思いがちですが、正解は聖ドミニコです。
**必見の美術作品TOP5**
この教会も、ひと目で見渡せるほど小さいので、内部を見学するのがおすすめです。フランス革命で失われた装飾の代わりに、のちにパリ市が数多くの作品を寄贈しました。そのなかにはナポレオンの略奪品も多く含まれています。教会というより小さな美術館として、鑑賞に立ち寄るのもおすすめです。
1. フランソワ・ルモワーヌが描いた聖ルイ礼拝堂の天井画。ヴェルサイユ宮殿のヘラクレスの間の天井画を描いた画家です。聖母マリア礼拝堂の彫刻はジル・ゲランの作品で、のちにヴェルサイユ宮殿を訪れたら、ぜひ見比べてみてください。ジャン・ルストゥ2世の作品もあるので、見比べると面白いでしょう。 2〜3. ナポレオンの略奪品を代表するグエルチーノの作品とサルヴァトール・ローザの作品です。ナポレオン軍とヒトラーの親衛隊の膨大な収集品は、どれもすばらしい作品として知られていますが、そうしたコレクションに属する作品をすぐ目の前で見られるというだけでも、立ち寄る理由になるでしょう。この教会には、聖母被昇天を描いた作品がもうひとつあります。聖母マリア礼拝堂の上のステンドグラスです。2つの作品のうち、どちらが気に入るか見比べてみてください。 4. 4つ目の作品は、いばらの冠を受け取る場面を描いた絵です。そのいばらの冠がどこにあるのかは、このツアーの中に答えがあります。
絵を見終えたら、上にあるオルガンをご覧ください。250年の伝統をもつフランス古典のオルガンで、フランス革命のときにパンテオンに避難し、のちに戻ってきたという、変わった経歴の持ち主です。
5. 最後の作品は、キリスト教最初の殉教者である聖ステファノを描いた作品です。真理を学び広めることを重んじるドミニコ会を象徴する作品です。
**主祭壇と聖ルイ礼拝堂**
この教会でいちばん目を引くのは主祭壇です。先ほどの奇跡のメダイユの聖母礼拝堂の祭壇がもっとも個性的だと思っていましたが、ここはさらに上を行き、神殿を据えたかのようです。バロック様式の要素であるドームが、ほかの教会より低いのも特徴です。ドームの天井画と聖ルイ礼拝堂の壁画は、ルーヴル美術館の天井装飾に携わったメリー=ジョゼフ・ブロンデルの作品です。
祭壇を見たら、その裏手に回ってみましょう。この教会でもっとも華やかな場所に出会えます。もとは修道院の聖歌隊席だった場所で、パリでもっとも美しい場所ともいわれています。聖歌隊席の上にある3つのステンドグラスの窓も有名なので、見逃さないでください。
修道院の一部だったため、ほかの教会のように側面に礼拝堂のスペースがありません。そのかわり、祭壇が2つあります。このツアーの最初に登場した人物が、ここでもまた登場します。聖ヴァンサン・ド・ポールの祭壇と聖ヨセフの祭壇です。
**道案内**
次は聖ウラジーミル大聖堂です。5分ほどですが、いまや高級ブランドの買い物袋を持って歩いても安全といわれるサン・ジェルマン通りを、ゆったりと歩きます。画面の写真とアプリ内の地図をご参照ください。教会を背にして車道に出たら、車の進行方向、つまり右へまっすぐ下ります。連なる建物を過ぎると、小さな庭のある路地の奥に、目的地の聖ウラジーミル大聖堂があります。


