パリ · 街歩き
311の愛の言葉、「愛の壁」
モンマルトル · パリ, フランス
パリで最もロマンチックな作品と言われる「愛の壁(Le Mur des je t'aime)」。フランスを代表する現代アート作品の一つであるこの青い壁の前には、モンマルトルを訪れる観光客が途切れることがありません。壁には、250の言語で合計311通りの「愛の表現」が記されています。フランス語、中国語といった身近な言語だけでなく、北極圏の少数民族の言語であるイヌイット語まで、少数言語も余すところなく刻まれているのが特徴です。壁の左側の中ほどには手の形が一つ描かれていますが、これはフランスの手話で「愛しています」を表すサインです。
この壁を作ったのは、フランスのフレデリック・バロンです。1992年、世界中を旅する夢を抱いていた彼は、その思いをこの壁に託しました。弟と一緒に、近所に住む外国人に「愛しています」の書き方を尋ねて回り、各国の大使館にも足を運んで言葉を集めたのです。こうして300を超える言語から千通りの愛の言葉が集まり、書家のクレール・キトーの協力を得て、一枚一枚のタイルに書き写していきました。612枚のタイルを積み上げて完成したのが、現在の愛の壁です。
壁のところどころに見える赤い模様は、砕けたハートのかけらです。かけらをすべて集めると、一つの大きなハートになります。それぞれのかけらは、分かたれてしまった人類を象徴しています。作者は、砕けたハートを壁に刻み、離れ離れのかけらをつなぎ合わせたかったと語っています。
