モンマルトル · 15/15

パリ · 街歩き

白き聖心の丘、サクレ・クール寺院

モンマルトル · パリ, フランス

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モンマルトルと聞いて真っ先に思い浮かぶ、サクレ・クール寺院です。「聖なる」を意味する「サクレ」と、心を意味する「クール」が合わさり、「聖心(せいしん)」、すなわち神聖な心という意味を持ちます。パリのノートルダム大聖堂が約700年、ルーヴルが約800年の歴史を持つのに対し、この寺院は1914年に完成した、約100年前の建物。ほかの建物に比べれば、いわば「赤ちゃん教会」です。1870年、フランスはプロイセン(現在のドイツ北部の王国)と大きな戦争を行い、1871年に敗北しました。戦争で疲弊した国を立て直し、政権を再び立ち上げるために、人々はいっそう宗教に頼るようになり、疲れた心を癒やす大きな聖堂をモンマルトルに建てることにしました。モンマルトルが選ばれたのは、ここが首を切られた聖ドニの殉教地であり、最も神聖な場所と考えられていたためです。

イスタンブールのアヤソフィアは、長く聖堂として使われたのちにイスラム教のモスクとしても使われた巨大な礼拝堂で、丸いドームなど、ビザンティン建築とイスラム建築の特徴が混ざり合っています。サクレ・クール寺院もビザンティン建築の影響を受けており、一般的な教会と違って丸いドーム型の屋根を持っています。

外観の素材も、ほかの教会とは大きく異なります。パリの教会の多くが茶色や明るい土色をしているのに対し、この寺院はひときわ冷たい白色です。パリの南にあるシャトーランドン産の石灰岩で造られているからです。この石灰岩は雨水に触れると方解石の成分が溶け出して表面を白くする性質があり、時がたっても白さを保ちます。建物の隙間をよく見ると、雨水が届きにくい軒下は黒く見えることにも気づくでしょう。

正面中央の像はキリストです。イエスに捧げられた寺院なので、真ん中に置かれました。正面から見て左右には青銅の騎馬像があり、左は「フランスの聖王」の称号を持つルイ9世(サン・ルイ)、右はフランスを救った英雄ジャンヌ・ダルクです。青銅は長い年月をかけて酸化し、現在の青緑色になりました。入口中央の青銅の扉には、最後の晩餐をはじめ、イエスの生涯の場面が彫られています。

堂内は無料で入場できるので、行列が長くなければぜひ入ってみてください。寺院上部のドームに上るには入場料がかかります。堂内では天井を見上げてみましょう。「聖心を崇めるフランス」というモザイク画があり、キリストを描いたものとしては世界最大級のモザイクの一つで、広さは約475平方メートルにも及びます。キリストをたたえる思いを込めて制作された作品で、イエスを中心に上下二つに分かれています。下にはその当時のフランスの姿、上には聖人たちの姿が描かれています。

高いところからパリを見下ろしたいなら、ドームに上ってみましょう。エッフェル塔に次ぐ、パリ屈指の高さを誇る展望台で、天気がよければ遠くまでパリの街並みを見渡せます。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:Zairon(CC BY-SA 4.0)。

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