モンマルトル · 11/15

パリ · 街歩き

ルノワールとロートレックのあいだで、モデル シュザンヌ・ヴァラドン

モンマルトル · パリ, フランス

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1880年代のパリ。15歳ほどの少女、シュザンヌ・ヴァラドンがやって来ます。幼い頃からサーカスの曲芸師、工場労働者、洗濯婦と、あらゆる仕事を経験してきた彼女は、画家シャヴァンの目に留まってモデルを始め、「もっと広い世界に出たい」とパリへ向かい、モンマルトルでもモデルとして活動するようになります。美しいけれどどこか哀しげな瞳をもつ彼女のもとには、モンマルトルに足を踏み入れてまもなく、多くの画家から声がかかりました。熱心なファンの一人がルノワールです。ルノワールはシュザンヌをモデルに数多くの作品を描きました。

代表作が『都会のダンス』です。絵の中の男性はルノワールの友人ポール・ロートで、彼とそっと手を取り合っている女性がシュザンヌ・ヴァラドンです。この絵を見たルノワールの恋人アリーヌ・シャリゴは、自分も美しく描いてほしいと頼み、続く連作『田舎のダンス』ではシャリゴがモデルを務めました。ところが、『都会のダンス』に比べて野暮ったく見えるアクセサリーや、素朴な自然の風景で田舎の雰囲気を出したこの絵が気に入らなかったシャリゴは、怒ってシュザンヌに嫉妬したと伝えられています。

モンマルトルの有名なモデルとなったシュザンヌには、多くの芸術家から絶え間なく声がかかり、結婚を申し込む人さえいました。しかし彼女はすべて断り、さまざまな仕事を続けます。そんなある日、キャバレー「ムーラン・ルージュ」で働いていたシュザンヌは、画家トゥールーズ=ロートレックと出会います。彼もまた「あなたの本当の姿を僕の絵に描きたい」と近づいてきました。すでに多くの画家のモデルを務めていたシュザンヌは、あまり期待せずに引き受けます。ところが完成した絵を見て驚きました。乱れた髪、荒れた肌、疲れてしかめた表情。ほかの画家たちが生き生きとした美しい姿だけを描いたのに対し、ロートレックは、毎日を貧しさと闘いながら懸命に生きるシュザンヌ・ヴァラドンの本当の姿を描いたのです。

数々のプロポーズを退けてきたシュザンヌは、内面を受けとめてくれるロートレックに心を開きます。二人は次第に距離を縮め、シュザンヌのほうから結婚を申し込みました。一方、貴族の家に生まれ、何不自由なく育ったロートレックには、一つ悩みがありました。幼い頃から骨が十分に成長しない病気を抱え、背がとても低かった彼は、自分の外見のせいで人を避け、身を隠しがちだったのです。そのため、誰からも愛されるシュザンヌを深く愛していながら、彼女の求婚を断ってしまいました。プロポーズを断られ、シュザンヌは失意に沈みます。その後、彼女はどんな人生を歩んだのでしょうか。次の目的地、モンマルトル美術館へ歩きながら、オーディオを再生してください。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:Zairon(CC BY-SA 4.0)。

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