パリ · 街歩き
サン・ジェルヴェ・サン・プロテ教会、素朴な壮麗さ
マレ地区 · パリ, フランス
パリ観光案内所を過ぎて横断歩道を渡り、右へ進むと、市庁舎の裏手に赤い扉の素朴な教会が現れます。サン・ジェルヴェ・サン・プロテ教会です。ここには4世紀から教会が建っていました。セーヌ川がたびたび氾濫したマレ地区のなかでも、周囲よりやや高い土地だったこの場所は、早くから宗教施設を置くのに最適だったのです。現在の教会は1494年、古い教会の跡地に建てられ、二人の聖人、ジェルヴェとプロテに捧げられています。
見どころ満載のパリで、あえてこの古くて素朴な教会をコースに入れたのは、柱の様式に理由があります。ドリス式、イオニア式、コリント式はギリシャの三大建築様式で、ヨーロッパ各地の建築で見ることができます。この教会のファサードは3層構成で、三つの柱の様式を順に使っています。1階がドリス式、2階がイオニア式、3階がコリント式です。ひとつのファサードに三つの様式をすべて用いているのがこの教会の大きな特徴で、ギリシャの柱の様式を取り入れた建築は、一般に古典主義建築と呼ばれます。旅先でギリシャ風の柱を見かけたら、古典主義のスタイルだな、と思って眺めてみてください。
この教会は完成までに150年以上かかったため、ひとつの建物にさまざまな建築様式が混ざっています。外観は古典主義、内部はゴシック様式。ゴシックは天に届きたいという願いを込めて垂直性を強調した様式ですが、外からはその垂直性はあまり感じられません。中に入ると、規模は大きくないのに、空へ向かって高く伸びる空間の広がりを感じられるはずです。先のとがったアーチや天井のリブ・ヴォールトなど、ゴシック建築の特徴が目を引き、内部は建築史的にも典型的なゴシック様式と評価されています。素朴な壮麗さこそ、この教会の魅力でしょう。
パイプオルガンとステンドグラスでも知られています。外観は古典主義、内部はゴシック、オルガンはバロック時代、ステンドグラスはルネサンス時代のもので、多彩な様式が溶け合っています。17世紀フランスの作曲家で伝説的なオルガン奏者、フランソワ・クープランは、17歳でこの教会のオルガニストになりました。そのため、ここのオルガンは「クープランのオルガン」と呼ばれ、広く知られるようになりました。外の光を取り込んで内部をやわらかく彩るステンドグラスは、ヨーロッパの大聖堂に比べると華やかさや繊細さでは劣るものの、素朴な趣で教会内を明るく照らします。なかでも南側の窓のステンドグラスは有名です。
ゆっくり見終えたら、祭壇の方向へ進み、いちばん左の扉から外に出ましょう。教会を出てすぐ、金色の文字で「MJE」と書かれた看板が目に入ります。この看板のある建物は、パリで最も古い家のひとつです。

