パリ · 彫刻
10年の時を隔てた上半身と下半身が出会う、『歩く男』
ロダン美術館 · パリ, フランス
『歩く男』には興味深い裏話がある。ある日ロダンは、アトリエで以前『洗礼者ヨハネ』を作るために制作しておいた上半身の粘土を見つける。その時見つけた上半身は、今この彫刻の後ろのケースに展示されている。この粘土を再利用しようと考えたロダンは、ちょうど同じ『洗礼者ヨハネ』の作業のために別に作っておいた一対の脚とこの上半身を組み合わせることにした。
ところが彼は単純に二つをつなぎ合わせるのではなく、上半身をわずかにねじって彫刻する方法を選んだ。そうして生まれたのが、今見ているこの『歩く男』だ。上半身と下半身は制作時期が実に10年近く離れた彫刻だったが、この二つを組み合わせることでまったく新しい作品として生まれ変わらせたのである。また、タイトルが示すように「歩く」という動作そのものに視線を集中させるため、ロダンはあえて腕を作らなかった。
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