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セザンヌ夫人の肖像
今ご覧いただいている作品は、セザンヌが妻のオルタンス・フィケを描いた肖像画です。
オルタンスは19歳のときにセザンヌと出会い、その後30年にわたって数多くの作品のモデルを務めました。
この作品も、そのうちの1つです。
それでは、絵を見てみましょう。
絵の中のオルタンスの顔を見ると、無表情で座っていますよね?
これは怒っているわけではなく、もともとこういう表情だったそうです。
しかも、何時間も動かずに座っていても、一度も文句を言わなかったといわれています。
ちょっと面白い話ですが、セザンヌは、妻が無表情でとても辛抱強かったので、余計なことを考えず絵を描くことだけに集中できてよかった、と話していたそうです。
そしてこの作品、一見すると何気なく描かれているようですが、実は驚くほど左右対称に構成されています。
オルタンスの鼻を中心に画面を半分に分けてみると、左右がほぼ対称になるように描かれているんです。
ただ、これほど左右対称だと画面が硬く見えてしまうので、セザンヌはあえて椅子を少し斜めに配置しています。
そして、服を見ると、ところどころ明るく見える部分がありますよね?
そこをよく見ると、白い絵の具を塗ったのではなく、あえて色を塗らず、キャンバスの地をそのまま残しているんです。
もともとキャンバスの地が明るいので、それをそのまま利用したんですね。
こうした表現も、とても独特な方法だといえるでしょう。
また、近くで見ると筆跡がはっきり分かるほど、素早い筆づかいで描かれています。
そのため、一見すると描きかけのようにも見えますが、むしろその筆づかいが作品に生き生きとした印象を与えています。
それでは、ゆっくりと作品をご鑑賞ください。
見終わったら、次の作品へ進みましょう。
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