ピアノを弾く少女たち
今ご覧いただいている作品は、ルノワールの『ピアノを弾く少女たち』です。
まずは、作品をじっくり見てみましょう。
金髪の少女はピアノの鍵盤に指を置きながら楽譜を読み、その隣では茶色い髪の少女がピアノに身を寄せ、一緒に楽譜を見ています。
柔らかな色彩と温かい雰囲気で、見ているだけでも心が落ち着くような作品ですよね。
ルノワールは、この『ピアノを弾く少女たち』というテーマにかなり力を注ぎました。
当時フランス政府は、すでに有名な画家だったルノワールの作品を国がまだ1点も購入していないことに注目し、1892年、美術行政を通じてルノワールに非公式に作品の制作を依頼しました。
ルノワールにとって、これは非常に重要な機会でした。
そこで同じ構図の作品を何度も繰り返し描きながら、完成度を高めていったのです。
現在も、同じ構図で描かれた完成版の油彩画が複数残されているほか、油彩による習作やパステル作品も残されています。
その中で、フランス政府が最終的に購入した作品は、今皆さんがいるオランジュリー美術館ではなく、近くのオルセー美術館に所蔵されています。
では、今皆さんの目の前にある作品は何なのでしょうか?
実は、同じ構図で描かれた油彩の習作です。
完成作と比べると、筆づかいがより自由でのびやかに感じられる作品ですよね。
この作品は後に画商ポール・ギヨームのコレクションに加わり、現在はここオランジュリー美術館で見ることができます。
オルセー美術館にある完成作と見比べてみるのも面白いですよ。
オルセー美術館の作品では人物の形がよりはっきりと整えられているのに対し、こちらのオランジュリー美術館の作品では、ルノワールの筆づかいをより直接的に感じることができます。
2人の少女が一緒に楽譜を見つめる姿を、ゆっくりとご鑑賞ください。
見終わったら、次の作品へ進みましょう。