青銅時代
今ご覧いただいているこの彫刻は、《青銅時代》です。
ロダンは、この作品を制作する前にイタリアを旅しました。
そこで、ミケランジェロやドナテッロといったルネサンスを代表する彫刻家たちの作品を目にし、大きな感銘を受けます。
そして、その旅から戻った後に制作したのが、この《青銅時代》です。
それでは、作品を見てみましょう。
ご覧いただくと分かるように、この彫刻のポーズはとても自然です。
モデルになったのは、オーギュスト・ネイという若い兵士でした。
彼はプロのモデルではなく、ごく普通の一般の人でした。
ロダンは、あえてプロのモデルではなく一般の人を起用して、この作品を制作しました。
それは、決まりきったモデルのポーズではなく、普通の人が見せる自然な姿を、そのまま彫刻にしたいと考えたからです。
旅行中にさまざまな彫刻をご覧になった方でも、このような自然なポーズの彫刻はほとんど見たことがないのではないでしょうか。それほど当時としては画期的な作品だったのです。
そのため、この作品は彫刻特有の硬さを感じさせず、まるで本当に命が宿っているかのような作品だと絶賛されました。
しかし、そのポーズがあまりにも自然だったため、のちにはロダンが実際の人体から直接型を取って制作したのではないかと疑う人まで現れました。
もちろん、それは事実ではありませんでしたが、こうした根拠のない噂ほど早く広まるものですよね。
そのため、ロダンは大きな精神的苦痛を受けたと言われています。
というのも、ロダンはこの作品をフランス政府に購入してもらいたいと考えていましたが、この噂のせいで政府は購入をためらっていたからです。
しかし、最終的には政府もロダンの卓越した彫刻技術を高く評価し、この作品を買い上げることになりました。
現在、この作品はオルセー美術館の所蔵ですが、ロダン美術館へ長期貸与されているため、ここでご覧いただくことができます。
それでは、ゆっくりご鑑賞いただき、ご覧になりましたら次の作品へ移動しましょう。