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アモールの接吻によって蘇るプシュケ

アントニオ・カノーヴァ ルーヴル美術館 ドゥノン翼, 部屋 403

アモールの接吻によって蘇るプシュケ — アントニオ・カノーヴァ

今ご覧いただいている彫刻は「エロスとプシュケ」という作品で、イタリアを代表する彫刻家の一人であるアントニオ・カノーヴァが人間が到達すべき絶対的な美を追求しました。

彫刻を見るだけでも、その美しさを感じていただけると思います。

そして単に美しいだけでなく、ほぼ完璧と言える完成度も見て取れます。

この彫刻は白い大理石で作られています。

しかしカノーヴァは、いきなり大理石に彫るのではなく、まず絵を描き

それをもとに粘土で簡単な模型を作り、それを石膏で仕上げ、確認してから最終的に大理石で彫刻を行いました。

そのため大理石作品が非常に多い彫刻家でもあります。

今ご覧のこの作品はその中でも特に美しいと称賛されています。

この彫刻は、古代ローマの作家であるアプレイウスの小説をもとに制作されました。

翼のある彫刻がエロスです

エロスと聞いてもピンとこない方もいるかもしれませんが「恋のキューピッド」の天使は見たことがあると思います。

エロスとキューピッドは同一人物です。

呼び方はギリシャ神話ではエロスなので...

ここでは、「エロス」 で、話を進めたいと思います。

そしてエロスに口づけをしている女性がプシュケで、この二人は夫婦です。

エロスは子どものように小さく可愛く描かれることが多いため知られていないこともありますが

実は既婚者でした。

そしてこのプシュケという女性と結婚していたのです。

ただし、その結婚までの道のりは決して平坦ではありませんでした。

プシュケはある王国の王女でしたが、あまりの美しさに美の女神であるビーナスでさえ嫉妬するほどでした。

そこでビーナスは息子エロスに命じプシュケを世界で最も醜い人物と恋に落ちるよう仕向けます。

しかし、親の思い通りにいかないのが子どもというものです。

プシュケのもとへ向かったエロスは、彼女を見た瞬間、一目惚れし恋に落ちてしまいます。

それから二人は結婚することになります。

ただし、この結婚には条件がありました。

それはプシュケが決して夫エロスの顔を見てはいけないというものでした。

そのため二人は常に夜にしか会うことができませんでした。

ある日、プシュケの姉たちが夜のうちにこっそり顔を見るようそそのかします。

夫の顔が気になっていたプシュケは、姉たちの言葉に従い、夜にこっそりろうそくを灯して夫の顔を見ました。

そこには美男であるエロスがぐっすり眠っていました。

あまりの美しさに見とれてしまい、うっかりろうそくの蝋をエロスの肩に落としてしまいます。

驚いて目を覚ましたエロスは、約束を破ったことに怒り、その場を去ってしまいました。

こうして自分のもとを去った夫を探すため、プシュケは長い旅に出ます。

そして義母であるビーナスを見つけ懇願し、ビーナスから4つの試練を与えられます。

それらをすべて乗り越えたプシュケは再びエロスと再会し、神々の食べ物と飲み物を口にすることで不死の命を得て、再び幸せに暮らしたという物語です。

この彫刻は今お話しした物語の中で、プシュケがビーナスから与えられた最後の試練の最中に昏睡状態に陥った際、エロスが口づけによって彼女を目覚めさせる場面を表現したものです。

そしてここでのポイントですが、この彫刻は白い大理石で作られているため、光の当たり方によって見え方が大きく変わります

朝から午後にかけて光が変化するため、訪れる時間によってさまざまな表情を楽しむことができます。

それでは、ゆっくりと彫刻をご鑑賞ください。

ご覧になった方は、私と一緒に次の場所へ行きましょう。

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