戦闘の回廊
このギャラリーは全長120mもあり、ベルサイユ宮殿で最も大きな空間です。
その巨大な空間を、たくさんの絵画が埋め尽くしています。
これらの絵に、何か共通点があることにお気づきですか?
そうです。どの絵にも戦いの場面が描かれています。
では、左側と右側を交互に見比べてみましょう。
何か違いを感じませんか?
左側では主に剣や槍が使われていますが、右側には銃や大砲が描かれていますよね。
この部屋の絵は、一番左から時計回りに時代が進んでいきます。
それぞれの絵の下には、年代と作品名が書かれています。
この「戦争のギャラリー」は、ルイ・フィリップがベルサイユ宮殿をフランス歴史博物館へと改装する際、最も力を入れた空間です。
もともと王室の居住空間だった場所を、400年代から1800年代までのフランス軍の歴史的な戦いを描いた33点の絵画で埋め尽くしました。
絵と絵の間に並んでいる胸像は、戦死した80人以上の将軍たちのものです。
ところで、なぜルイ・フィリップはこれほどまでにフランスの歴史を強調したのでしょうか?
革命によって絶対王政が崩壊した後、フランスはまさに分裂の危機にありました。
王政を懐かしむ人々、共和政を望む人々、そしてナポレオン時代の栄光を忘れられない人々が対立し、国がバラバラになりかねない状況だったのです。
そんな中で国王となったルイ・フィリップは、どれか一方の味方をするのではなく、すべてを受け入れる戦略を選びました。
王政も、革命も、ナポレオンも、すべて偉大なフランスの歴史なのだと示したのです。
その戦略の一つとして利用されたのが、ここベルサイユ宮殿でした。
かつては王族や一部の貴族しか足を踏み入れることのできなかった特別な空間を、思い切って博物館へと改装し、市民に広く開放したのです。
一般の市民たちがこの「戦争のギャラリー」を歩き、フランスの勝利を描いた巨大な絵画を目にしたとき、どんな気持ちになったでしょうか?
「こんな国の国民であることが誇らしい」と感じたのではないでしょうか?
つまり、ルイ・フィリップもまた、フランスの偉大な歴史を通して国民を一つにまとめようとしたのです。
それでは、このまま前へ進みながら、絵をゆっくりご覧ください。
先ほど登場したルイ14世やナポレオン、そしてこの空間を造ったルイ・フィリップの姿も見つけることができるでしょう。
ゆっくりご覧になったら、出口を出てすぐ右を向き、次のチャプターをお聞きください。